ガラスの正義感

投稿者: | 2020-12-27

 子供のころから正義感が強かったのか、ヒーローものが大好きだった。男の子は誰でもそうなのかもしれない。やっぱりウルトラマンが一番だったかな。仮面ライダーも好きだったけどウルトラマンシリーズの方が好きだったと思う。ちょっとアウトローなレオに妙に魅かれたっけ。そのほか月光仮面やゴレンジャー、キョーダインなんて言うのもあった。バロムワンとか。そのヒーローたちが主役の座をいつの間にかアントニオ猪木に取って代わられた。中学校時代はそれはもう熱狂的なファンだった。社会現象になるほど凄い人気だったと思う。地方興行で新日本プロレスが来た時にチケットをやっと手に入れて駆け付けた。オーラと言うか存在感がすさまじく、近寄るには結構な勇気が必要だった。「カリスマ」、私たちの世代が猪木氏に票を入れてしまうのは責められない。夢見るころを過ぎて、架空のヒーローから現実の人間の中に正義を見出したとでも言えるかもしれない。悪役レスラーにボコボコにされ頭から流血しながらも、闘志を燃やして何度も立ち上がる姿に痺れた。


 映画が好きだ。本を読むより映画やビデオを観る方を好んだ。実際今も本に時間を費やす機会がグッと増えてはきているが、映画やアメドラをよく観ている。で、やはりアクションものが好きだ。アクションものと言っても様々なジャンルがあって、刑事もの、SFX、軍事作戦もの、スパイもの等々枚挙にいとまがない。何かしらのアクションが盛り込まれている作品は多いように感じる。もっと分かりやすく言えばお金がかかったハリウッド映画が好きだということだ。カッコいい男前や綺麗なスタイルの良い主人公が困難を乗り越えながら悪役をやっつける勧善懲悪のパターンは今も昔も人気を掴むための常套手段だろう。銀幕の主役たちは猪木氏からその座を奪っていった。


 ヒーローものやアクションものと呼べば聞こえはいいが、暴力シーンに間違いない。私は人を殴ったり蹴ったりするシーンを見て興奮し溜飲を下げている。神さまを信じているといいながら、それではダメなんじゃないかと思う。これはクリスチャンになり切れない一つの頑丈な壁になっている。そんな信者がいてはダメだろうか、この志向はちょっとやそっとじゃ変えられそうにない。幼いころから私の根本に近いところにある要素だ。信心を突き詰めれば、いつか暴力シーンを受け付けなくなれるのだろうか。


 大人になっていつの頃からか勧善懲悪ハッピーエンドに物足りなさを感じるようになった。胸が締め付けられるような悲しい結末に驚愕し、観終わった後に呆然と悲哀感に浸ってしまうような映画が好きな映画ランクに入ってくるようになっていった。ブラッド・ピットさんが主演した「セブン」は私のトップ3に入るせつない映画だ。せつないだけではない、各々の主要登場人物に猛烈に感情移入させられてしまう素晴らしい作品だ。だがしかし、この映画も殺戮シーンは酷い。


 そう言えば最近ちょっと長めの格闘シーンに嫌気を感じていることに気づく。

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