クラリスに恋して

投稿者: | 2021-02-16

 一昨日、日曜日の午後、7週間ぶりに10km走った。今年に入ってからは初走り。例年寒さを理由に2月に走ったことはなかったと記憶しているので、まさに“記録的”な走りになった。7週間も走ってないと、もうふくらはぎの太さが別人のように細くなっていた。「また最初から身体を作り直さなければならないか……」と残念な気持ちでまた元気に走れる春を待っていたが、一昨日は思いも寄らない好天に恵まれ気温も上昇し、誘われるように気がついたら走り出していた。タイムは落ちた。でもそんなことが全く気にならないくらい気持ちよく10kmを完走できた。

 気温が上がったせいもあって、走り終わった後の体操・ストレッチの際に非常に身体を倒すことができた。特に肩甲骨周りの可動域を広げることができ、首の痛みに起因する昨今の左肩から左肘までの痺れがあるにも関わらず、痺れが和らぎ首を大きく旋回させることができた。何より気持ちがよかった。加えて足の内転筋も両足共によく伸ばすことができた。週2回のスイミングのレッスンが効いているように思える。7週間全く何もしないでいたら、こうは身体は動かなかっただろう。実際タイムが落ちたとは言え、6:11/kmだった。状況を考慮すれば悪いタイムではない。

 一日経って昨日、まだ両肩の可動域の広さは残っているように思えたくらい、身体の調子が良かったが、下半身に関しては予想通り急に走った故の筋肉痛に激しく襲われた。階段がキツい。でも久しぶりの痛みが嬉しかった。それに何だかいつもより食欲が湧いて少しだけ昨晩は夕飯をいただいた。ふと映画「ルパン三世 カリオストロの城」の一場面を思い出した。ルパンが重傷を負い何日も深い眠りに陥り、目が覚めると「食べ物をくれ~」と言って用意された骨付き肉にかぶりつきワインをがぶ飲みし、その他とにかく爆発的に食べまくって英気を養う場面だ。過度に疲労し、治癒能力を高め、腹が減り、猛烈に食し、回復する、というように身体が動物的な反応を自然と見せるシーン。お姫様を悪者から救出するというこの映画のメインテーマとはあまり関係がない下りだと思うが、主人公の必死さ、本能的な部分も全て投入して持てるあらゆる可能性を尽くそうとする献身的な姿勢をよく表現できていると思う。そんなルパンに人間の原点のようなものを感じて印象に残っている。

 弱さに負けず、言い訳を作らず、なるべく定期的に走りたい。そうした方が気持ちが良いと分かっているくせにどうしても自分を律しきれない。私はまだまだ人間が甘い。なぜ走りたいと思うのか、泳ぎたい鍛えたいと思うのか、正直分からない。鍛えることが正解かどうかも分からない。「イルカと泳ぎたい」とか「トライアスロン大会に出場してみたい」というちょっとした夢はあるけれど、走っていて苦しい時にそんな先のことを考えられる余裕はないし、それを達成できるかどうかはまた別かなと思っている。それよりも日々の鍛錬を大切にしたい。その先に「達成」がもし待っていてくれるのなら嬉しいけれど。走って泳いで鍛えて頑張ってお腹を空かせたい。マゾヒストと思われるかもしれない危険を恐れずに書けば、お腹が空いた時、筋肉が痛む時、自分が甘いと落ち込む時、苦しい時、己の生命の存在を最も確かに感じる。

 ただ走れる内に走っておきたいというのは強烈にある。

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