投稿者: | 2021-03-15

 大きな会社や組織、「東証一部上場」とか「大手一流」とかという“接頭語”がつくような、いわゆる有名な団体のことはよく分からないので、ここでは除外させてもらう。私が所属してきた小さな団体にまつわる狭い範囲での考察について。
 一般的にはどうか知らないが個人的な見解として、働いてお金をもらうのに、アルバイトも正社員も関係ないと思っている。それぞれの立場によって任せられる領域が違うだけで、その範疇で各々がしっかり働くのが当たり前。アルバイトだからといって中途半端なことをしている学生さんは、就職して正社員になったからといって、働き方をそんな急には変えられないのではないか。人間なかなか変われない。少なくとも私の中で、働き手として、両者の区別はない。

 それなりに大勢が一緒に働いている場合、いわゆる「組織」がしっかりしていれば、たとえ誰が社長として天下って来ようが、一人二人中心的な役割を担っている人が抜けようが、微動だにしないのだろう。残念ながら、そんな盤石な団体で働かせてもらったことは一度もないので、予想でしかないのだが。
 20代に東京である小さな会社で働いていたころ、中心的な役割どころか、ある一人の上司がもう“全て”だったような状況の部署に所属していた。下りてくる企画に対して、段取りから準備・根回し、部下の管理・育成、そして実際の営業からフィニッシュワークまで、ほぼ全てが彼の指導の下に行われていた。極端に言えば、我々部下はその人に“おんぶに抱っこ”で、指示にひたすら従うだけでいいような状態。頼り切っていた。
 ある時その上司が退職するという激震が伝えられた。当時私は下っ端で、アルバイトの学生さんたちをまとめるような役割が主たる仕事だった。「全体を見渡して会社の行く末を慮る」な~んて生意気なことはまだまだ考えられない。どうにかできるような立場ではなく、「どうなっちゃうんだろう?」とただただ気が動転していた。焦燥感が部署全体を覆い尽くした。

 よく「上司が無能だと部下が育つ」と言われる。本当にそうだと思う。「2:8」とか「2:6:2」の法則という、「常に保たれる、一団体においての労働者を貢献度別で区分した割合」についても、数字に誤差はあるとして、本当にそうだと思う。絶対的な存在というか、「この人がいないと絶対に成り立たない」というのは“都市伝説”だと考えている。私が所属してきたひ弱な団体の中でもそうなのだから、優秀な方がわんさかいらっしゃるであろう省庁や大企業さん何かでは、もっと顕著にそういった兆候が現れるのではないか。誰かの穴は必ず誰かで埋まるものだ。

 残された人たちは、そりゃあ大変なことになる。やらなければならないことが突然大きく膨れ上がって押し寄せてくるわけだ。しかしまさにその時、個々に使命感が生まれるんだと思う。それまでの自分の働き方を各々が反省し、頑張り、どんどん仕事ができるようになっていく。アルバイトでさえ意欲的な姿勢を見せ始める。ヤバいと冷や汗をかいていた状況が、組織にとっても個人にとっても、またとないチャンスに変わっていく。そうやって物事は歴史を重ねていくんだと思う。これに似たような経験は今まで4、5回あった。
 もちろんそのまま消滅していく会社等もあるとは思う。あくまでも私の経験の中での話なので、片寄っている説・考えであることは否定しない。ただもし「自分がいなけりゃこの会社は保たない」と思い込んでいる人がいたら、「本当にそうでしょうか?」と問い掛けてみたい。

 何とかなるんだよね~、ヤバかったけど。

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