昔、いつごろだったか全然覚えていないが、「ウゴウゴルーガ」という子供向けのテレビ番組があった。クロマキーなどの合成技術を使って、二次元的で不思議な感覚の世界に迷い込ませるような映像を作り出していた。作りの面白さで、確か少し話題になったと記憶している。
その番組の中で、視聴者からの質問に答えるというコーナーがあった。子供からの素朴な疑問に有名人が答えるというコンセプトだったと思う。ある回の質問で、「何だか調子が悪い時はどうしたらいいですか?」という質問が上がり、コピーライターの糸井重里さんがこれに答えていた。糸井さんがどう答えるのか、非常に興味があった。子供からそんなことを聞かれたら、私なら何と答えるだろう。恐らく子供に理解できるかさえ微妙な、ありきたりで常識的な正論で押し切ったのではないかと思う。そんな答えでは面白みに欠け、テレビで採用される可能性は絶望的だろう。
さて、糸井さんの答えはと言うと、「ぴょんぴょん跳びはねる」というものだった。つまり「その場で何回かジャンプを繰り返す運動をしてみる」という解答だった。私は最初何かの比喩かなと思ってあれこれと考えを巡らせていたが、糸井さんは含みも何も無く、具体的に「ジャンプしなさい」と伝えていて、テレビの中で実際にジャンプして見せていた。「何だ、子供だましか」とがっかりした。「飛び跳ねるくらいで何かが変わるわけが無い」と思った。でも何となく気になって、試しに私も何回かジャンプしてみた。すると何だか笑顔になっている自分がいて、少々驚いた。
リズムが狂ったことが原因で何だか調子が出ないということがあるのだろうと思う。「リズム」。意外と大事なことなのかなとこの時初めて意識した。ぴょんぴょんぴょんと飛ぶことは、体重が増えた大人としてはなかなかキツい運動ではあるのだが、たしかに体内にリズムが出てくる。身体を動かす→血流が増す→体温が上がるという事に加え、一定のリズムで動き方を制御すれば身体自体にリズムが宿る。「おかしいな」と感じたら、頭の中だけで解決しようとせず、せめてうっすら汗ばむくらいは「動いてみろ」ということかもしれない。自分でジャンプ(実行)してみて初めて理解出来た一つの教え・アイデアだった。糸井さん、すげぇ~と思った。
別の何かのテレビ番組で、「スキップすると人は笑顔になる」という仮説を検証しようとする実験をしていた。何人かのタレントさんにスキップをしてもらうと、ほぼ全員が自然と笑っているという結果になっていた。何だか不思議な気もしたが、いわゆるヤラセはないように見えた。仮説は実証された。
乱れていたリズムを取り戻すことができてさらに笑顔になれるなら、“跳ばない”手は無いんじゃないだろうか。
一般的に「健康を維持するため」の項目として、「適度な運動」というのがあると思う。“適度”の規定が曖昧ではあるが、ご高齢の方でも、可能ならばラジオ体操くらいはやられた方がいいのだろう。若い方でも普段あまり身体を動かさない方は、手っ取り早いラジオ体操はいいかもしれない。メニューの中にもちろん“ジャンプ”も入ってます。
ラジオ体操は細部までちゃんとやると結構キツいですよ。