ゲーム・オブ・スローンズ(その1)

投稿者: | 2021-06-16

 映画やテレビドラマを観ていて、映像や構成など“つくり”にお金がキチッとかかっていそうな始まり方で、出演者たちが全く無名の人たちばかりだと気づくと、なお期待感が高まっていく。有名な俳優さんたちが多数出演するいわゆるハリウッド映画も好きだが、出演者に馴染みがないと先入観が入らないせいか、より純粋にストーリーに入り込みやすいような気がする。そういう種類のアメリカのテレビドラマを見つけ、またドップリとハマってしまった。「ゲーム・オブ・スローンズ」というドラマで、アメリカではもうすでに完結終了しているものをアマゾンビデオで視聴している。全8シーズンで今、シーズン6の後半に入ったところだ。
 トラウマになってもおかしくないほどの激しい戦闘シーンや斬首、殺戮シーン、また淫らな性交シーン等々、とてもとても子供たちには見せられない残虐な映像が満載のドラマなので、“お勧め”できるドラマとは言えない。クリスチャンを目指す身としては躊躇する部分があった。しかし、事実、ハマってしまった。とても楽しんで観させてもらっている。

 日本の感覚で言えば、テレビドラマにどうしてこんなにお金をかけられるのだろうと思うくらいスケールが大きい。CGを確かに多く使っている。架空の生きものであるドラゴンや大オオカミ、巨人族などは当然CG映像だし、その他巧みな合成技術も散見する。そういった後処理の技術も本当に凄くてお金をかけているなと思うのだが、それ以上に実際の出演者の多さに驚く。誰が主役か分からない程メインの出演者が多いこともさることながら、映画でもなかなかお目にかかれないエキストラの多さは半端ではない。それもいつも同じ人種ではなく、アラブ系や、黒人、オセアニア系、ゾンビ軍団などシチュエーションによって異なる大集団のエキストラが迫力ある映像作りに貢献している。エキストラの衣装や特殊メイクに費やす労力とコストだけでも莫大な金額になることは必至だ。さらにメインで出演しているほぼ全ての女優陣は肌をさらけ出している。出演料はかなり高いとみている。どれだけ制作費があるんだろう。

 ロケ地は南極の氷河のような場所から見渡す限り灼熱の砂漠が広がる荒野まで、海、山、草原、雪原、森林、峡谷などロケ隊を引き連れて世界中を回って撮影したのではないかと思われるほど、雄大な光景の数々が映し出されている。引きの画では作画を背景に組み込んでいるシーンもあろうが、実際に撮影している映像も多いと思う。シーズン3の氷の山でのシーンは本当に美しかった。その他スタジオ撮影と思われるシーンも中世ヨーロッパを思わせる見事なセットが組まれ、私には「いかにもセットっぽい」というような違和感が全く感じられない。肩入れしすぎだろうか。

 そして何といってもストーリーが素晴らしい。死んでしまった役柄も含めて主役が本当に何人いるのか分からない設定の中、主人公たちがそれぞれの人生を生き、七つの国を治める「王の座」を取り巻きながら運命が交錯していく。人間の「欲望」が主題テーマかと思うが、深く掘り下げることを許さないほど目まぐるしく物語が進んでいき、ついて行くのがやっとという感じだ。メインクラスの出演者が次々と殺されていく展開におののきつつ、ストーリーを考えた人の創造性の凄さに気づく。こんな本を書いてみたいなぁと少し思った。

 (その2)へ続く

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