吸い玉(その1)

投稿者: | 2021-09-03

 背中左の肩甲骨辺りの痛みと、左肩から左肘にかけて痺れがあって、鍼灸院に通っている。だいぶ良くなってきているので、週1ペースから2週に一回の頻度に落としたところだ。今通っているところでは保険が利くので助かっている。利かなかったらお財布的に週1とかでは通えていない。そこでは鍼治療の他に「吸い玉」という治療方法もお願いしている。口径3~5cmくらいのコップのような形状の、透明なプラスチック製の器具を患部に当て、中の空気を吸い出して真空状態にする。するとその部分の皮膚・筋肉が引っ張られて隆起し、そのままの状態を5分間保持する。滞っている血行を促進する効果があるそうだ。施術後、血行が悪い部分ほど赤紫色が色濃く残る。

 鍼治療は中学生の頃にも受けていた。当時は野球に必死に取り組んでいて、少し無理をしたせいか2年生くらいから肘・肩・腰などに痛みを抱えるようになっていたからだ。鍼は効く人と効かない人といるらしく、私は効いた側の人だと思っている。しかし鍼治療をしてもらう時はマッサージも一緒にしてもらうのだが、正直、鍼が効いているのかマッサージなのか、それとも私が効いていると思い込んでいるだけなのか、確信がなかった。定期的に通い続けても完全に各所の痛みが消えることはなかったが、ただ何となく痛みが和らいでいたようには感じていたと思う。

 中学生時にも「吸い玉」治療を受けていた。しかし同じ吸い玉でも今とは違う部分があって、現代の鍼治療の現場においては禁じられている治療法をしてもらっていた。
 簡単に言うと、私の場合は膝に施したのだが、イスに座った状態で先生が鍼で私の膝の患部をトントントントンと無作為に何度も突き刺し、皮膚に極小の穴を無数に空ける。これが不思議と全然痛くない。ただビジュアル的に、ほっそい鍼とは言え、鋭利な金属で生膝を何度も繰り返し突き刺される“画ずら”が強烈で、刺されながら「おおおお!」とのけぞり怯んだ覚えがある。
 その穴が空いた部分に「吸い玉」を装着し、中の空気を抜く。するとあれだけ極小の鍼の穴を通って出てきたとは到底思えないほどの、ドロッドロに固形化したドス黒い血液が吸い玉の中に溜まっていく。先生はそれを「毒血」と呼んでいた。血液は本来サラサラであるべきで、うっ血して血流が滞っている部分ほど、こういった血液が固形化する現象に陥るそうだ。停滞して膝に溜まっていた古い悪い血液を吸い出したわけだ。施術後、私の鮮血に染まった吸い玉器具とガーゼ類の衝撃的なイメージが記憶に残っている。「そんな過激なことをするなら、最初に言ってくれよ!」という、かなり動揺した気持ちと共に。 

 当時はその鍼灸院は保険の適用外だったが、中学生と言うことで特別に安い料金で診てもらっていた。そうでなければ中学生の分際で鍼治療なんかはなかなか受けられない。マッサージ好きはこの頃に端を発している。
 毒血を吸い出す吸い玉治療もそうだが、寝ている状態で首を思いっきり横方向にバキッと捻られたり、横向きに寝たまま足をクロスさせたストレッチの体勢から、上になっている膝をさらに一気にグッと下方に押し下げて腰の骨をボキボキボキッと鳴らされたり、相当荒っぽい、むしろ「危険」とも言える整骨治療もしてもらっていた。今思えば、「なるほどあれじゃぁ、保険は利かせられないよな~」と納得する。

 (その2)へ続く

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください