The sky is the limit.

投稿者: | 2021-10-19

 初めて飛行機に乗ったのは21歳の夏。カナダのバンクーバーに友達が住んでいたので会いに行った時だった。直行便がなかったのでアメリカの確かサンフランシスコ空港だったと思うが、乗り換えるためにそこで一度飛行機を下りた。アメリカからカナダに入るのだから搭乗口は国際線に違いないと思い込み、一生懸命探したが乗るはずの便が見つからない。もしかして国内線扱いなのかもと考え直し、事なきを得た。結構ギリギリの搭乗になってしまい、最初からそんなだったので多難な旅を予感したものだった。こんなことでビビらず、「これから何度も飛行機に乗って、世界中を駆け巡るぞ!」なんて意気込んでいた頃が懐かしい。残念ながら思ったほど乗る機会には恵まれなかった。

 「空を駆け巡る」等と言うよりももっと凄い、「宇宙を冒険する」という表現がとても似合う人がいる。俳優のウィリアム・シャトナーさんだ。“宇宙もの”ファンにはお馴染みの人気テレビシリーズ、「スタートレック」で初代船長役を演じた方。テレビの中では常にリーダーシップを発揮して宇宙船を操り、未知の空間を探求し続けていたシャトナーさんだが、このたび実生活でホントに宇宙へお出かけしてきたそうだ。今年で90歳のシャトナーさんは宇宙に到達した史上最高齢の人になった。およそ11分間と言う短い時間の体験だったが、ストートレックの大ファンである私には、何だか感慨深いものがあった。最初聞いた時は、「今さらキャプテン・カークが宇宙へ?」って、興ざめするような気もしたが、でもやっぱり一番行かなくてはならなかった人がやっと行ってくれたんだという思いがした。ホントに凄い時代になったものだ。90歳でも大丈夫なのか……。

 実在の気象学者をモデルとして作られた映画「イントゥ・ザ・スカイ ~気球で未来を変えたふたり~」を観た。どこまで実際の冒険話に近いのかはちょっと分からないが、空に魅せられ、命がけで天空に挑んでいった先人たちの勇気に触れることができた良い機会になった。こういった一つ一つの積み重ねのお陰で、シャトナーさんは生きている内に大気圏から飛び出すことができたんだと言えると思う。
 映画の中で、主人公の二人が気球に乗っている大部分のシーンではスタジオ内で撮影し合成していることは明白だったが、主演のフェリシティ・ジョーンズさんの迫真のアクション・演技はなかなかに見応えのあるものだった。何作も彼女の出演作品を観ているが、ガッツある役を情熱的に演じることができる素晴らしい女優だと思う。外見のことではなく、どこかジョディ・フォスターさんを彷彿とさせる印象があるような気がする。

 現実と空想の世界が交錯するようなまどろみを感じながら、空や宇宙、星などに対する人間が抱いてきた浪漫みたいなものに思いを寄せてみる。そういう“上”への憧れがなければ飛行技術やロケット開発は進歩しなかっただろうし、他方でスタートレックやスター・ウォーズも生まれなかったことだろう。飛行機さえも飛んでいなかったかもしれない。
 空、或いは「飛ぶ」ことは人類の憧れであり続け、それは「本能的な欲求だ」と言ってしまったら、どうだろう、言い過ぎだろうか。

 やっぱり発進する時は、Engage !って言わせてもらったのかな!?

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