DeLorean

投稿者: | 2021-10-28

 第一作目が1985年に公開された大ヒット映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズは画期的な映画だったと言えるのではないか。痛快なストーリー展開もさることながら、一つは「タイムマシーン車」をはじめ、「空中に浮かぶスケートボード」や「空飛ぶ列車」など、“あったらいいな”とみんなが思える「夢の乗り物」をリアルなビジュアルとして世に出した。私はそれらに夢を乗せ、そんなに遠くない未来にキラキラと輝ける希望を見出したものだった。

 そしてもう一つは「時間の観念」。SF小説に造詣が深い人には当たり前の考え方かもしれないが、「過去の出来事の変更が未来を変える」という設定は、私には衝撃的だった。主人公は自分が生まれる前の時代へタイムスリップし、まだ結婚する前の両親に遭遇する。両親がケンカをして別れそうになったりまたくっついたりするに従い、持っていた写真の中の自分が消えそうになったりまた浮かび上がってきたりする。「両親がちゃんと結婚してくれないと自分はこの世に生まれて来られない」という時間と運命の繋がりを、非常に分かりやすく表現したシーンだった。人間の「あの時こうしていれば……」という後悔の念の対応の仕方に一石を投じる考え方だと思う。しかし「もしタイムマシーンがあれば」という妄想に取り憑かれて、なかなか前を向けない人に“悪い”影響を与えてしまっている考え方とも言えるかもしれない。
 また映画の中で、これから開催される競馬等のギャンブルレースの結果が記載されている「未来のスポーツ雑誌」を手に入れた“悪ガキ”役が、大儲けして成り上がっている想定は、人間の飽くなき欲望の恐ろしさが露骨に演出されていて、考えさせられる展開だった。

 この過去と未来の繋がり関係が事実なのかどうかは分からない。映画「アベンジャーズ エンドゲーム」の中では、この考え方自体が間違いだと主張されていた。その否定の根拠は、私には難しくてまだよく理解出来ていないのだが。
 タイムマシーンの存在は今のところ世の中で確認されていないと思うが、どっちにしろ誰かが実際に過去へ行って試してみないことには、この考え方の証明は難しいのではないだろうか。だからこの「過去と未来の因果関係」については想像の中だけ、物語の中だけの架空の考え方にしかならないのだが、どうだろう、人間にはとても納得できるというか、理解でき受け入れられる観念だと思う。この類いのタイムスリップ系作品が人気を博し、次々と制作され、人々に受け入れられている事実がそれを証明しているのではないだろうか。

 映画「トランスワールド(Enter Nowhere)」を観た。「どうも怪しいな」とは予感していたのだが、アマゾンの評価で四ツ星が付いていたので、思い切って観てみた。それほどお金がかかっている映画でないことはすぐに分かった。画作りが殺風景で全体的にスケールが小さく、最初は失敗したかなと観るのを止めようとしていた。結果的に最後まで映像は殺風景な感じではあったが、本の優秀さ・面白さに驚かされた作品になった。私からも四ツ星を差し上げたい。私が観た映画の中では“時間と出来事の繋がりについて”の部分に限定して言ってみると、最も複雑で意外性に富んだ作品だったと思う。面白かった。
 観終わってすぐ「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を想起した次第で今日のこの記事になったわけだが、改めて先駆者たちの偉業に感服するし、その影響力の強さは本当に大きいものだと感じた。だれも実証していないタイムトラベルの感覚は、もう当たり前のように私の中に根付いているのだから。

 技術が進めば、過去や未来には本当に行けるものなの??

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