浮力

投稿者: | 2021-11-03

 私が初心者クラスで習っている「水泳」の話。かれこれスクールに通い出して一年になろうとしているが、思ったほどうまく泳げるようになっていない。小さな頃は海が遊び場で、泳ぎにはある程度の自信があったのだが、いざ久しぶりに水に入ってみたら余りに泳げないので落胆している。
 一人一人に身体的な特徴があって、腕が高く上げられる人もいれば、私のように四十肩、五十肩を患っている人もいる。股関節が固い人や基本的に筋力が弱い人など、体を動かしてできることは人それぞれ。もちろん年齢も特徴の一つだ。だから例えば「あの人のように泳ぎたい」と思って真似をして泳いでみても、なかなか同じにはならない。無理して真似をするよりも、基本的な動きが分かったら、あとは自分のスタイルを確立していくべきかなと思う。ちょっとカッコよく言えば、「自分の泳ぎを見つける」みたいな。

 思っていたよりも泳ぎの学びは深い。教わるインストラクターにも依るのだが、人間工学と言うのか、「手足など体の各所の特性を理解し、それをうまく利用して『楽にゆったり泳ぎましょう』」という感じで、私の理想と合致する。50歳半ばを迎え、がむしゃらに闇雲に泳いでもせいぜい25mで力尽きてしまう。それでは私が目標とする「小笠原諸島でイルカと泳ぐ」という夢が近づいてこない。体幹を強化したり、もっと基本的な体力や呼吸法なども鍛えたりしなければならなそうだが、その上で長い時間を泳ぐ「遠泳」ができる脱力泳法を身につけたいと思っている。

 練習する程に自分のできなさを痛感する。どうしてインストラクターの言うようにできないのだろう?体が水面へ浮上してこないのだろう?あまり進まないのはキックが弱いから?etc.……、悩みは尽きない。しかしできない自分から逃げないで、苛立たずダメな自分を認めて、そこからどうできるかを探したい。いい意味で自分を諦めて、ダメなりにできることに精一杯チャレンジすればいい。たかが趣味の水泳にそこまで真剣にならなくてもいいのに、でもまぁそんなところが至極私らしい。無理をしない範囲でもう少し続けてみようかと思っている。今は週2回スクールへ通っているが、もう一回だけどこかのプールで自己練習してみようか。

 そしてある程度自信がつく日が来たとしたら、理想とするあの人の姿にもう一度チャレンジしてみたい。肩も肘も膝もすっかり自由に伸ばしきって、あの人が残してきた足跡に自分の足を一歩ずつ歩み入れ、何を見てきたのかを感じ取りたい。それに挑戦できるにはまだまだ学びと覚悟が全然足りない感じだ。
 私は自分を非常に不器用な人間だと思っている。趣味でも勉強でも仕事のやり方でも、何を習得しようにも本当に時間がかかってしまう。小学校の頃の通知表に「晩成型」と書かれていたのは偶然だろうか。でも仕方がない。「考え方が堅すぎるから時間がかかって前へ進めないのだ」と言われても、基本的なところが備わっていないとチャレンジする勇気を生み出せない。要は肝っ玉が小さいということだと思う。でもそれがいかにも私らしい。

 あれ? 水泳の話だったよね!?

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