雨は嫌いだ。小中学校の頃は雨が降ると野球の試合が中止になったし、運動会や遠足など屋外での行事は予定変更を強いられる。せっかく楽しみにしていた催し物ができないことは残念以外の何物でもなかった。大人になってからも屋外に楽しみの場を求める人たちは週末の天気が気になる。私もランニングをしようと思っていた貴重な日曜日が雨でつぶれてしまうとかなり痛い。向こう一週間の予定に微妙に影響を及ぼしてしまう。主には「走れなかった」という精神的な負い目を引きずるのが一番大きい。
 けれども一たび降ってしまって、するはずだった予定をもう諦めてしまった後は、それなりに雨を楽しんだものだった。どこかの歌の歌詞ではないが、傘もささずに雨に打たれるのは嫌いじゃなかった。10代の頃は傘自体を持っていなかったと思う。雨の中をわざとゆっくりと歩いてずぶ濡れで帰宅したこともあった。そんな時何を考えながら歩いていたのか思い出せない。何か沈んだ心持ちだったように思う。

 雨で一番印象に残っているのは、中学生の時に自転車で友達3~4人と遠出をした帰りに、豪雨に見舞われた。自転車を漕ぎながら激しい雨に前を向くことさえままならない状態で、まだまだ帰り道は長かったが、それでも皆ひたすら頑張って漕ぎ続けた。するとどういうわけか、可笑しくなってきた。みんながちょっと狂ったように爆笑しながら漕ぎ続けている。「ひひひひひ~~!!」。自転車でドライバーズ・ハイというのがあるのか知らないが、土砂降りの中、下着までずぶ濡れの上、前方がよく見えない絶望的な状況下で、バカみたいに必死に自転車を漕いでいる自分たちの現実がリアルには捉えられなかったのかもしれない。よく事故に会わなかったと思うほど、猛烈なスピードで突っ切った。歩道と車道の高低差を前輪を少し浮かせながら攻めまくり、大きな水たまりにも構わず突っ込んで高笑い、まさに恐れを知らない青春真っただ中の1シーンだった。

 昔「ザ・ベストテン」という歌番組の中で、司会の久米宏さんが当時トップアイドルだった山口百恵さんに質問した。「朝起きて窓を開けると、どんな天気だったらいいですか?」普通は、「透き通るような」とか「どこまでも続いているような」等の、どの種類の『晴れ』かを答えとして期待すると思う。なぜなら極めて妖艶なオーラを放っていたとは言え、山口さんは当時まだ17か18歳くらいだったはずだから。ハッキリと覚えていないのが残念だが、確か答えは「静かな雨」とか「しっとりとした雨」みたいな感じだったと思う。ゾクっとした。やはりあの方は只者ではないのだろう。久米さんが悩殺されて卒倒しそうなフリをしたのをよく覚えている。

 小学校5年生か6年生の学校帰り、雨の中傘を持たずに一人でトボトボ歩いていると、不意に傘を差した白い洋服の、背の高い優しいおねえさんが、「一緒に行こう」と、相合傘をしてくれた。何だか恥ずかしくてちゃんと顔を見られなかったし、お礼をしっかり伝えられなかった。ませガキの甘酸っぱい思い出。あ!もしかしたらそれに味をしめて、「またあのおねえさんが後ろから……」と、無意識に傘を差さないで歩いていたのかもしれない。

 今年は長い梅雨になるそうです。

aRanDy

 自分のものの見方・感じ方・考え方を伝えたい。心を開いて本当のことを書かないと伝わらないと思う。だから自分と精一杯向き合って心の言葉と巡り合えるように祈ろうと思う。取るに足らないことでもいい。伝えたいと思ったことを素直に届けたい。  聖書の言葉に惹きつけられ恩師に教えを乞いながら数年研究してきた。クリスチャンではないしキリスト教がどういうものなのか理解しているとは言い難いが、書いていく中で聖書の香りが漂うような表現ができれば嬉しい。そして誰かに勇気を与える一助になれば幸せだ。 ////////////////////////////////////////  I want to convey my own way of seeing, feeling, and thinking. I don’t think it will be delivered unless you open your heart and write the truth. Therefore, I will pray that I can face myself as hard as I can and meet the words of my heart. Though it might be insignificant for others, I want to deliver honestly what I want to convey.  I have been attracted to the words of the Bible, and studied for about four years while asking my teacher to teach me. I’m not a Christian and it’s hard to say that I understand what Christianity is, but I’d be glad if I could express it with the scent of the Bible as I write. And I would be happy if I could help give courage to someone.

Recent Posts

裏切りの信仰[Faith in Betrayal]

 人間、生きていればそれなりに… Read More

2024-04-27

A new broom(新しいほうき)

 アイルランドの諺で、「新任者… Read More

2024-04-26

御心のままに[as you will]

 「もう一頑張りしなきゃな!」… Read More

2024-04-25

自由vs強制[Freedom vs. Coercion]

 私は辛いことや面倒なことに敢… Read More

2024-04-24

喜びの犠牲[Joyful Sacrifice]

 クリスチャンになって、もっと… Read More

2024-04-23

引力[Magnetism]

 小学校5年か6年生の頃、同級… Read More

2024-04-22