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Xデー(その2)

 まず一番最初に何をすべきかを考えた。考えて考えて、まずお客様に状況を正直に伝えた。最悪の場合を想定して、セーフティーネットを張っておいてもらおうと思ったのだ。まだ間に合う可能性はあると思っていたが、失敗した場合、お客様にしたって当日に「間に合いませんでした」では、対応のしようがないだろう。「もしかしたら間に合わないかもしれません。私のミスです。申し訳ありません」。この謝罪を告げるのも簡単ではなかった。しかしお客様は動揺しながらも覚悟を決めてくれた。実際にファイトするのは私だが、この瞬間からこの戦いは私とお客様の共同作業にシフトした。

 後ろ盾を得て、次はネットプリントサービスに掛け合った。掛け合ったと言っても電話で直接は話をさせてくれないので、メールでのやりとり。チャットと違い一度メールを送ると、いつ返信があるか分からない。よって最初に送ったメールの文面になるべく詳しく書こうと思った。ここでまた私がミスを重ねてしまった。バカ正直に「その日の朝」に必要なんだと書き込んで送ってしまった。あちらもプロなので「暗黙の了解」を察してくれると期待してしまい、「その日の朝」と頼めば、その前の日中に届く日程で段取りし直してくれると思い込んでしまった。いや、あまりに苦しくて、そう思いたかったのかもしれない。帰ってきた返信メールには「その日の午前中にお届けに変更しました」とあった。それでは間に合わない。「午前中」というのは到着が13:00くらいになる場合も珍しくない。繰り返すが、「朝一」で必要なのだ。嘘も方便で、一日早い日付を伝えればよかった。もう一度予定を変更し直してもらう時間は、もはやないと判断した。確認はしていないが、ネットプリントの方もこれが変更できる最短の日程だったのかもしれないのだが。

 しかも追加料金が10,190円かかるということだった。少額に思えるかもしれないが、私が仕事をする上でのポリシーとして、この場合は私が払ってはいけない。細かい事情と理由は今は書かないが、たとえ一円でも今回のケースではお客様から追加料金を払っていただくのが筋だと考えた。けれども私はポリシーを曲げた。とりあえず曲げた。この10,190円をお客様から振り込んでいただくと、また入金確認に一日かかり、そんなことをやっていると本当に手遅れになってしまう。気が付くと私は銀行へ車を飛ばしていた。何が何でも間に合わせてみせようと、燃えていた。無事振り込みを終えた。もちろん電信扱いの即日入金で。

 整理すると、変更受付が完了し、新しい品物の到着時刻は約束の日の午前中に決定した。つまりあと半日縮めなければお客様との約束の時間に間に合わない。まだ攻める余地はどこかに残っているはず。途中経過をお客様に報告し、何とか頼むと「期待」を示してくださったが、半分諦めているのだろうと感じた。
 「あと半日も縮めなければならないのか…」と悲観することを止め、最悪のシナリオに対応する準備ができたことを誇り、「もう一日半も縮めちゃった!」と前を向くように努めた。約束の日まで、あと二日。

 (その3)へ続く

aRanDy

 自分のものの見方・感じ方・考え方を伝えたい。心を開いて本当のことを書かないと伝わらないと思う。だから自分と精一杯向き合って心の言葉と巡り合えるように祈ろうと思う。取るに足らないことでもいい。伝えたいと思ったことを素直に届けたい。  聖書の言葉に惹きつけられ恩師に教えを乞いながら数年研究してきた。クリスチャンではないしキリスト教がどういうものなのか理解しているとは言い難いが、書いていく中で聖書の香りが漂うような表現ができれば嬉しい。そして誰かに勇気を与える一助になれば幸せだ。 ////////////////////////////////////////  I want to convey my own way of seeing, feeling, and thinking. I don’t think it will be delivered unless you open your heart and write the truth. Therefore, I will pray that I can face myself as hard as I can and meet the words of my heart. Though it might be insignificant for others, I want to deliver honestly what I want to convey.  I have been attracted to the words of the Bible, and studied for about four years while asking my teacher to teach me. I’m not a Christian and it’s hard to say that I understand what Christianity is, but I’d be glad if I could express it with the scent of the Bible as I write. And I would be happy if I could help give courage to someone.

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