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Xデー(その1)

 お客様がその日の朝にどうしても必要だという条件で、ある印刷物を受注した。予算があまりないということでデザイナーを使わず私がレイアウトし、印刷はいつもの地元の印刷業者ではなく、あるネットプリントサービスを使った。「その日の朝」ということは=前の日の夕方までに納品というのが暗黙の了解事項だ。そこから逆算していついつまでに校正を上げて検討してもらい、修正して再検討して……というスケジュールを立て、制作進行していく。今回ギリギリのスケジュールになってしまい、期日までに納品が間に合うか、進行中も内心ハラハラしていた。何か一つでも歯車がズレると挽回するのが難しそうだ。

 ネットプリントを使うときはいつも着払いで、お客様から運送会社のドライバーさんに印刷料金を直接現金で払ってもらっていた。しかし今回は印刷部数が多いために、つまり支払う金額が大きい理由で、お客様から銀行振り込みにしたいと依頼があった。銀行振り込みの場合は前入金ということで、品物が納品される前に料金を支払わなければならない。
 本来であれば、納品された品物がしっかり約束通りに、数も質もちゃんと出来上がっているか確認できた後で、「お支払いしましょう」となるのが筋だと思う。しかし最近では時代の流れなのか、取りっパグれを防ぐためなのか、先に支払うシステムが特にネットビジネスの中で増えてきている。新聞折込なんかもそうだ。考え方がある意味で古い私のお客様の経理部は、最初渋っていたが、仕方がないと条件を呑んでくれた。

 私はホッとして問題は消えたと思い、印刷日数を7営業日に設定し申し込みを済ませ、続けてWeb入稿をし終わった。あとは振込入金の確認が業者の方でできれば、受付が完了し納期が判明する。と、今考えてみると私はここでミスを犯している。実はもうギリギリの日程で進んでいたにも関わらず、その時は何となくまだ余裕があると錯覚を起こしてしまい、入金が確認された次の日から7営業日の1日目がカウントされ始めることを計算していなかった。

 そしてさらに決定的なことが判明した。お客様の経理システムの都合で、今日振り込み手続きをすると、翌日の入金になってしまうことが分かったのだ。電信扱いじゃないのか……。そこでまた無情にもプラス1日。そんなこんなでとにかく入金が確認され、はじき出された納品日がメールで報告された。日にちを見た瞬間、血の気が引いた。正直もっと一日二日余裕があると思っていた。示された納品日は、何と、『約束の納品日の夕方に発送』と決定していた。全然間に合わない。今から何としても「2日間」縮めなければならない。しかも予算が無い。
 意識が遠のいていきそうな症状を必死にこらえながら、どうすればいいかをこれまた必死に考えた。すでに私の手を離れ「印刷」と「運送」の二つの大企業に委ねられた、私とお客様との約束の行く末を、もう一度自分へ引き寄せるために、私と時間との戦いが幕を開けた。

 (その2)へ続く

aRanDy

 自分のものの見方・感じ方・考え方を伝えたい。心を開いて本当のことを書かないと伝わらないと思う。だから自分と精一杯向き合って心の言葉と巡り合えるように祈ろうと思う。取るに足らないことでもいい。伝えたいと思ったことを素直に届けたい。  聖書の言葉に惹きつけられ恩師に教えを乞いながら数年研究してきた。クリスチャンではないしキリスト教がどういうものなのか理解しているとは言い難いが、書いていく中で聖書の香りが漂うような表現ができれば嬉しい。そして誰かに勇気を与える一助になれば幸せだ。 ////////////////////////////////////////  I want to convey my own way of seeing, feeling, and thinking. I don’t think it will be delivered unless you open your heart and write the truth. Therefore, I will pray that I can face myself as hard as I can and meet the words of my heart. Though it might be insignificant for others, I want to deliver honestly what I want to convey.  I have been attracted to the words of the Bible, and studied for about four years while asking my teacher to teach me. I’m not a Christian and it’s hard to say that I understand what Christianity is, but I’d be glad if I could express it with the scent of the Bible as I write. And I would be happy if I could help give courage to someone.

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