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適性

 何度かすでに書いてきたことかもしれないけれど、今の心境を正直に今日も書こう。映画監督になろうと、なりたいと思って、いつも遠くを見ながら青年期を過ごしてきた。「今のダメな自分は仮の姿で、将来には輝く自分が待っている」という妄想に常に“取り憑かれて”生きていた。映画監督になるために日々コツコツと勉強なり、それこそ本を読むなり、本気で頑張っていたなら全く違う話になると思う。それができていたら本当に映画監督になれていたかもしれない。

 もう27、8年位前カナダにいるときに、前にも書いたことがある人、友人の友人である当時はまだ駆け出しの映画監督と、夜中にビールを飲みながら二人で話をする機会があった。彼:「おまえはどうしてカナダにいるんだ?」。私:「映画監督になりたいからです」。彼:「なぜ?」。私:「映画を創って、その中で『自分の考え方・ものの見方、感じ方』を伝えたいんです」。彼:「何を伝えたいんだ?」。私:「私の信じる真実です。」。彼:「真実とは何だ?」。私:「愛です」。彼:「愛って何だ?」。私:「まだ、よく分からないです」。彼:「何をやってるんだ!?分からないなら図書館でもどこでも行って、調べてこい!」。私はそのあと何も返せなかった。真夜中に図書館が開いていなかっただろうことが理由ではない。全く彼の言う通りで、直感的にそういう性質・性格が、飽くなき探求心と言うのか、映画監督には必要な資質なのだろうと感じた。私は自分の知らないことに強い関心を持ち、そんな情熱的に“知ろう”とする努力はしてこなかった。口先だけで中途半端に生きてきた「私の真実」を、このほとんど初めて会ったカナダ人に突きつけられたのだ。絶望し、そして同時にそんな必死な姿、使命に目覚めて他のものに目もくれず邁進するような生き方に、疼くような憧れを感じた。

 結局、映画監督には今のところなれていない。結局、私は本気ではなかったのだろう。あの夜の後もそういった類の努力はしなかった。「飽くなき探求心」が必要だろうことは書いた。加えて映画監督になるために、これも必要なんじゃないかと最近思うことがある。「感受性の豊かさ」だ。私はあまりにも遠くを見過ぎて、足元の日々の小さな出来事に気づくことができなかった。道端に咲く小さな花や激しく木々を揺らす突風や、散歩している誰かの笑顔や、家族のあの一言に、心を反応させられなかった。万物の営みに敏感に思いを巡らせることができる純粋な心、豊かな感受性が求められると思う。

 このように書いていて、もう一つ気づいたことがある。「映画監督」という単語を「素敵な人」か「なりたい自分」という言葉に差し替えて読んでみる。そして自分の過去と未来と、そして今を考える。もう53歳だからこれから映画監督になるのはかなり厳しいが、なれるかどうかは誰にも分からないし、可能性はゼロではないはずだ。でもその目標だけに焦点を絞って努力することは、恐らくもうしないと思う。では「素敵な人」、「なりたい自分」の方はどうだろう。まだまだ“なれる”可能性は十二分にある。私の自分探しの旅は続く。

 あの人、どうしてっかな~?

aRanDy

 自分のものの見方・感じ方・考え方を伝えたい。心を開いて本当のことを書かないと伝わらないと思う。だから自分と精一杯向き合って心の言葉と巡り合えるように祈ろうと思う。取るに足らないことでもいい。伝えたいと思ったことを素直に届けたい。  聖書の言葉に惹きつけられ恩師に教えを乞いながら数年研究してきた。クリスチャンではないしキリスト教がどういうものなのか理解しているとは言い難いが、書いていく中で聖書の香りが漂うような表現ができれば嬉しい。そして誰かに勇気を与える一助になれば幸せだ。 ////////////////////////////////////////  I want to convey my own way of seeing, feeling, and thinking. I don’t think it will be delivered unless you open your heart and write the truth. Therefore, I will pray that I can face myself as hard as I can and meet the words of my heart. Though it might be insignificant for others, I want to deliver honestly what I want to convey.  I have been attracted to the words of the Bible, and studied for about four years while asking my teacher to teach me. I’m not a Christian and it’s hard to say that I understand what Christianity is, but I’d be glad if I could express it with the scent of the Bible as I write. And I would be happy if I could help give courage to someone.

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