映画やドラマでSF(サイエンス・フィクション)の部類が好みだ。空想の世界が描かれた作品は何だか想像力を掻き立てられるような気がする。その中でも未来の話のみではなく、タイムスリップもの等の現代と関連したSFは、もしかしたらあり得るかもしれないというある種の危機感が煽られ、より話にのめり込みやすい。まぁ私は騙されやすい性質があると言えるかもしれない。
「トゥモロー・ウォー」というアマゾンオリジナルの映画を観た。CGとSFX満載の今時なSFアクションという感じ。いつも思うがアマゾンオリジナルの作品は映画もドラマもストーリーがよく書けているし、映像も編集も質が高いと思う。今回観たこの「トゥモロー・ウォー」も劇場公開されたら大ヒットするんじゃないかと思うくらい素晴らしくキチンと仕上がっていて非常に楽しめた。どんなに優れた映像技術を駆使しようとも、私は、ストーリーがポンコツだと受け止められない。この映画では、激しいアクションシーンと共に表現される「恐怖に打ち勝つための勇気」や「僅かな希望に生命をかける信念」の陰で、私は「家族愛」や「人間愛」といったもっと人間の内面にある基本的な感情の尊さが語られていたのではないかと思う。そういう意味では盛りだくさんな映画だった。
またこの映画では「近未来に地球の滅亡が迫っている」という設定で始まるが、結果的にその惨劇を引き起こす原因はもうすでに私たちの世界に存在しているという事実が突き止められる。現実の世界に翻って考えると、それは現在進行形で問題になっている「地球温暖化」への皮肉・警告とも捉えられるのだが、同時に「未来の災難はもうすでに私たちの目の前にあるんですよ」という暗示にも受け取れた。どんな災難なのかは想像もつかないけれど、温暖化が引き寄せるもっと甚大な惨事が起こったとしても、人間が地球環境を破壊し続けている限り致し方ないことなのだろうと思う。何としても温暖化は止めなければならない。
「今さら何を」という感じを承知で言うが、作家たちの想像力は凄い。もちろんSF作家も含めて。考えてみれば映画もドラマもアニメーションも「本」が書かれないと始まらない。作家のアイデアが元になって全てが拡がっていくのだ。書くためには書く技術はもちろん、知識や経験、勉強も必要だし、時代を読み解くセンスや直観力も要求されるだろう。頑固さや根気など、ある意味での“偏屈”さが世に出るカギを握るのかもしれない。
コロナ禍にあってスポーツやエンターテイメントは置き去りにされてしまった。人々の心が暗く沈む今だからこそ、不要不急な「無駄なもの」の価値が問われる。私は映像が好きだ。凄い面白い楽しい恐い、あるいは感慨深い映画を観て、皆が元気になってくれたらと思う。作家たちの果てしないインスピレーションに期待する。
「トゥモロー・ウォー」、おススメです