20年弱くらい前、一応映像プロダクションとして独立した当初は地元でテレビ番組を制作することを第一の目標に掲げていた。デモ番組を作って企業や団体、テレビ局にも売り込みをかけ、スポンサーについてもらおうと必死に駆けずり回った。結局実現はできなかったが、もしうまくいったら10年は作り続けてみたいと思っていた。やっぱりテレビ番組何て言うものは流行り廃りもあるし、どんなに面白い内容でも飽きられてしまうものだ。私がやろうとしていたのはバラエティだったので、特にそういう波が激しいことも知っている。そこを掻い潜って「10年できたらな~」なんて、その先のことも考えず夢を見ていた。もし10年続けられたら“一角のもの”を作ったと自慢できるだろうし、それは成功を意味すると信じていた。だから「10年」という時間には一つ憧れのような気持ちを持っている。何かを10年続けるって大変なことだ。
以前からアメリカのテレビドラマ「SUITS(スーツ)」を観ていた。アメリカの法律のことはよく分からないが、何となく「こんなこと実際はあり得ないんだろうな~」なんて思いながら、でもとても好きで楽しみに観ていた。しばらく前までにシーズン8までは観終わっていて、最近Amazonプライムでその次のファイナルシーズンが視聴無料になったことに気づき、久しぶりにあの独特のおしゃれな世界にお邪魔した。かなり間が開いてしまったので、展開を思い出すためにももう一度シーズン8から見始めて、ほとんど一気にファイナルシーズンまで観終えた。疲れているのに深夜になっても「次、はいまた次!」と、次が観たくて止まらないあの感覚が懐かしく、楽しい時間を過ごさせてもらった。
このドラマ、結局9つ目のシーズンで終了となったわけだが、途中のシーズン7終了時でシリーズを通してのストーリーが大きな転換期を迎えた。それはある一人の中心的な出演者が、彼女の個人的な理由でこのドラマから降板することになったことが原因だと思う。これは私の推測でしかないが、恐らく間違いないだろう。その後の2シーズンで番組自体が終了となったのは、この「降板」が大きく影響したのではないだろうか。思い切って役者を交代させて続ける方法もあったかもしれないが、この番組スタッフはそれをしなかった。彼女が遠方に引っ越して活躍しているという設定で話は進んでいったが、しかしやはり彼女が登場しないドラマの展開にはちょっと無理があった。
シーズン9まで作ったということは、主な出演者や制作スタッフたちは10年以上の付き合いになっていたことだろう。一つの仕事で10年はやっぱりすごいと思う。羨ましい。またもや私の予想でしかないが、恐らく現場の良い雰囲気が作品の雰囲気にも繋がって、こんなにも長い間多くの人から愛された作品の一つに名を連ねることができた。関係者は一つのファミリーのような関係を築いていたのではないだろうか。だからこそ大切な仲間の一人である、その降板した女優の代役を起用しなかったのではないか。彼女を降板した後でもドラマの中でそのまま生き続けさせた。私は英断だったと思う。観終わって私はもうあの出演者たちに会えないかと思うと酷く寂しく、本当に“ロス”に陥ってしまった。しかし彼女のせいで終わってしまったかもしれないけれど、多分だれも彼女を責めることはしないと思う。ドラマの中で彼女の不在を痛感するときはいつも、「頑張れ!」と、本当に思った。そういう気持ちになって彼女のプライベートを応援しているのは、きっと私だけではない。
素晴らしいドラマでした!ありがとう!!