押しつけ vs 力強さ

投稿者: | 2021-02-17

 ここ二日間ばかり連続して深夜の1時とか2時に目が覚めてしまい、それから4~5時頃まで本を読んで過ごしていた。映画好きの私にとって半年前までは考えられない現象だ。昨晩は本に手を伸ばした時、「おまえ、ホントに本なのか?」と自分に突っ込んでしまった。生まれ変わったと言えば大げさだが、私の中で何かが明らかに変わってきている。ちなみに私は現在53歳。だいぶ遅咲きの読書家が誕生したのだろうか、ちょっと恐い。

 ところで二晩連続で深夜に目が覚めてしまったのは両日とも夜10時かそこらに寝落ちしてしまったからだ。本を読んでいたら眠ってしまった。この現象はほとんどと毎日と言っていいほど私には起こる。たいていは10~20分くらいそのまま仮眠に入ってしまえば、スッキリと目が覚めてまた読み始めることができる。たまたま疲れていたせいか、ここ二日は深く眠ってしまった。必ずと言っていいほど本を読み出すと眠くなるので、もしかしたら病気かもしれないと思いネット上で調べてみると、そうでもないらしい。疲れている時は脳がそれ以上の情報の流入を阻止しようと働き、シャットダウンして眠らせようとするそうだ。本の中身が難しすぎたり、つまらなく感じる場合も同様のことが起こる場合がある。これを防ぐためにはイスに座って姿勢を正しながら読むことが推奨されている。ベッドで読むのが好きな私はその防御策はちょっと受け入れ難い。そうだろうとは思っていた。イスに座った方が緊張感が保てるのはよく分かる。でもリラックスできない。私にとっては集中はしつつも少しぼーっとするような、半眠状態とでも呼ぶのか、ある“ゾーン”に入りながら読み進めるのがとても気持ちが良い。この“ゾーン”は寝落ちと隣り合わせのある意味“危険な”状態なのだが、これがたまらなく心地良いのだ。ぼーっとしているわりに内容はしっかり入ってきていると確信している。身体が無意識にリラックスを欲しているのかもしれない。

 一昨日の晩は、その本のページ数が少なく比較的ゆったりしたページ構成だったこともあり、一冊読み終えてしまった。ジェームズ・アレンさん著の「原因」と「結果」の法則という本だ。非常に分かりやすくてどんどん彼の言葉が胸に収まっていった。私はいつもはあまり「断言」された言葉を好まない。「言い切り」というか、それ以外に答えはないというような確信心が窺える文章を敬遠したがる傾向がある。要は誰かの思想を押しつけられるのが嫌いなのだ。思想は自分で培っていくべきものだと思っている。しかしこの本に書かれている内容は著者の自信がみなぎるように迫ってきて、確かに言い切っている論調なのだが、不思議と嫌悪感を持たなかった。むしろ思い切って言い切って見せた爽快感を覚えた。読みながら「そうだよね、そうだよね!」といつの間にか著者に同調する自分を見つけた。実際に声に出ていたかもしれない。

 言い方は様々あると思う。「扇動」「洗脳」「率いる」「導く」「惹きつける」「変革を起こす」「主張する」etc…。同じ『主導する』という類いの行為を表現する時に用いる言葉は慎重に選ばなければならない。いずれにしろそれを評価し表するのは当事者ではなく他者・社会であり歴史だ。その思想・主張が真理に抵触するならば後世へ自ずと残ってゆくのだろう。そして人を感化し導こうとする時は伝える内容が本物であることはもちろん、使う言葉に力強さを宿す必要があると改めてこの本を読んで感じた。

 寝落ちする瞬間が気持ちいいんだよね~。

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