異邦人

投稿者: | 2021-06-25

 初めて買ってもらったレコードは久保田早紀さんの「異邦人」だった。小学校の高学年の頃だったと思うが、何故かそのことだけははっきり覚えている。久保田さんのそれほどファンだったという記憶はなく、よっぽどその曲が気に入っていたんだと思う。
 あの頃は渡辺真知子さんの「♪カモメが翔んだ日」とか八神純子さんの「♪パープルタウン」とか、女性シンガーが人気だった。ジュディ・オングさんもその頃だっただろうか。都はるみさんの「♪北の宿から」は秀逸だったと思う。それでも何故か「♪異邦人」だった。ちなみにピンクレディーさんに対する気持ちはもっとミーハー的で別格の扱いだったと思う。

 そんなこんなで音楽に興味を持ち始め、この後すぐくらいに「ABBA」をよく聞くようになった。初めて買ってもらったLPレコードはABBAの「グレイテスト・ヒッツ」か何かだったと思う。当時はなぜレコードを「アルバム」と呼ぶのか理解出来なかった。懐かしい。ABBAの「♪ダンシング・クィーン」は思い出の一曲で、友達と一緒になってよく聞いていた。今考えるとああいうキレイな曲調を男友達と一緒に聞くと言うのは不思議な感じがする。
 中学の頃になってくるとギターを弾く友達が現れ始め、バンドに興味を持つようになっていった。私もギターを買ってもらったが、残念ながら肌に合わなかったというか馴染めず、もっぱら聞く方専門だった。ABBAの影響からか、英語圏の音楽を聴いてばっかりだった。確かABBAは北欧出身のグループだったはずだが、当時はそういうことが分からなかった。とにかく英語の、アメリカの歌という感じ。TOTOの「AFRICA」というアルバムは印象深いし、KISSやRAINBOW、バンヘイレン、ジャーニー、ボン・ジョビ、ロッド・スチュワート、シンディ・ローパー等々、たくさん聞いたな~と思う。

 「ボヘミンア・ラプソディ」という映画がある。イギリスの伝説のバンドと呼ばれる「QUEEN」の音楽活動の軌跡を再現した物語。驚いたのは出演者の外見が当時の本人たちと非常に似ていたこと。特殊メイクを施しているのかも知れないが、特にギターのブライアン・メイ役の人は本当に本物かと間違えた。もう40年も前の話なので、本人である筈はないのだが、もしかしたらと思ってしまったくらい面影があった。よく見つけ出したもんだと思う。
 そして全編を通して流れたQUEENのサウンドが、どれも深く私の胸に刻まれていることに気づき、驚いた。忘れていた感情や当時のことが思い出され、不覚にもウルウルしてしまうほど心が動き、また音楽の力の大きさに改めて感心させられた。思い出と一緒にQUEENが共にある。「何かあったらまた聞きに戻ればいい。」帰る場所を見つけたような安堵感を覚えた。ファンにはたまらない作品だと思う。

 アメリカに憧れて中・高校生時代を過ごした。憧れたのが先か、音楽が先か覚えていないが、音楽が憧れの度合いを高めていったことは確かだと思う。この頃はすっかり音楽を聞かなくなってしまったが、最近流行の洋楽をたまに聞いてみようかと思う。古い曲はほどほどにして、また新しい軌跡を新しい音楽と共に紡いでいくのもありかなと思う。いくつになっても。

 さだまさしさんもよく聞いてたけどね

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