こころ

投稿者: | 2021-06-26

 「本」といっても様々なジャンルがあるわけで、小説やあらゆる分野の専門書、伝記等々細かく分類すれば限りがないと思えるほど多くの種類がある。読むことで勉強したいと思う気持ちも強く、歴史小説などに手を出してみることもあるが、基本的には物語小説を好んで読む傾向にある。非日常の世界へ連れ出してくれる小説は、日ごろ現実逃避を渇望している意識はないが、リフレッシュできるというかリセットというか、気持ちを新たにできる元気を与えてくれる。
 その時に相性が合う本に出会えれば、読むスピードは格段に増し、時間を忘れて没頭できる幸せな時間を過ごせる。なかなかそういう出会いに巡り合えないのは、この歳になっても読書量が圧倒的に少ないことに原因があると思っている。もっと読みたい。

 「吾輩は猫である」「坊ちゃん」「こころ」を読んだことがある。夏目漱石という名前は国語の授業で教わったことがあるので知っていたが、実際に作品を読んでみないことには“知っている”ことにはならないんじゃないかと思い、試しに読んでみたのが最初だった。
 私の読解力では夏目先生の作品の何がそんなに良いのか分からない。お札にまでなった方の凄さが伝わってこない。書かれた時代の背景を考慮するとまた違った感想を持つのかもしれない。しかし私としては行間に隠された意味を探ろうとはするけれど、単純に読んでいる本が面白いかどうかの興味しか持てないというのが正直なところだ。時代背景を念頭に置いて“読み込む”ことまで要求されるのは荷が重い感じがする。もし私が書かれた当時に生き、読んでいたらもの凄く感動するものなのかもしれないが。

 ただ、「こころ」は少し違った印象がある。理解できるというか、私は主人公に非常に追体験できる内容だった。主人公は私に似ている性格かもしれない。『人間の弱さ』をせつなくそしてリアルに描いた、大変悲しい物語だと思う。読み終わってしばらく落ち込んでしまい、どんよりと何も手につかなくなってしまうほど、リアルだった。夏目先生の実体験からの話かと思うほどに。プライド、妬み、隠蔽、罪の意識などが一人の人間の中で入り交じり、それが彼の運命を自死へと追いやっていく。現代でも大いにあり得る話だと思う。しかしながら私の意見とは異なり、歴史的な夏目先生への評価は、恐らくこういう部分ではないのだろうと承知している。まだまだ勉強が必要だ。
 一つだけ最終部分について、最終章の途中でいきなりドンと強引に終えてしまったような印象がある。当時のことなので、編集の都合や納期など何かの問題があったのかもしれないが、もうちょっと丁寧に結んでも良かったのではないかと思う。生意気を承知で、失礼しました。

 小説はできるなら時間をかけてゆっくり読んでいきたい。けれども私には読書量が圧倒的に足りなく、専門書や伝記などをもっと読んでいきたいと強く思っている。新聞やインターネットの記事も含めてもっと読むために、もう一度速読に挑戦しようかと思っている。

 「三四郎」もいつか読んでみたい

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