苦闘中

投稿者: | 2021-08-29

 水泳は思っていたよりずっと難しい。ここまで苦戦するとは思わなかった。「イルカと一緒に小笠原諸島を泳ぐ」を目標に、昨年の12月から水泳教室に通い始めたわけだが、入会する前は3カ月くらい通って基礎を学び、あとは退会してどこかのプールで一人で練習しようくらいに思っていた。もともと全く泳げなかったわけではなく、体力が落ちたのでもう長い距離・時間は難しいが、25mくらいであれば問題ない。ところが、一応初心者コースに入ったのだが、思っていたよりも体が動いてくれない。というか、これまでの泳ぎ方は無茶苦茶だったようで、若い頃は体力に任せて強引に泳いでいたらしいことが分かってきた。頼りの体力を失った今、基本に忠実に無理のない泳ぎを習得せざるを得ない。25mくらいではイルカは相手にしてくれないだろう。

 「伏し浮き」というのがある。基本中の基本だ。とにかく全身リラックスしてうつ伏せで水面上に浮かぶ。鼻から息を少しずつ出しながら、腰とお尻のラインが平らになるように気持ち上半身を丸める。これが最も体が水中から浮かびやすい姿勢だそうだ。いろいろやっていて動きが分からなくなったら一度諦めて、この基本の姿勢に立ち返ればリセットできる。途中で諦めて動きを止めることは、次の人が後ろから来ちゃうし、実際なかなか難しいのだが。「基本が大切」ということは本当にどの世界でもよく言われることであり、正しいなと思う。それだけ人間とは迷いさすらう生き物なのかなとも思う。

 リラックスすることの難しさを痛感している。リラックスしないで泳いでいると疲れてしまい、長い距離を泳げない。当たり前のことだ。でも分かっていてもできない。沈んでしまうのだ。沈まないように頑張って腕なり足なりを強く動かすと疲れる。酷く疲れる。だんだんイルカと一緒に南の島を優雅に泳ぐ夢が遠のいていく。
 泳ぐ動きを安定させバランスを保つためには、どうしてもある程度の体幹の強さが必要だそうだ。水泳の体力を養うには泳ぎ込んで鍛えるのが私のポリシーだが、プールに行くことは準備も含めて簡単ではない。自宅でのちょっとしたトレーニングが求められるのかもしれない。

 一つの動き、例えば腕の上げ方を教わると足が疎かになってしまったり、呼吸のタイミングを忘れたりしてしまう。つまり新しい注意点を言われると、それまでできていたことへの意識が失われてしまう。全くもってダメな自分に腹が立ってくる。実際に昨日は混乱して何をやっているのか分からなくなってしまい、腰までの水位のプールで水を飲み溺れそうになった。もう9カ月にもなるのにこのザマだ。
 しかしそうは言っても、恐らく肩や股関節をはじめとする多くの関節部分において、可動域が拡がっていることは事実だし、体幹の強さ・体力、またいい意味での癖もついてきていると思う。そういう意味で少しずつできることが変化し続けている自分の体へ向けて、さらに新しい命令を出している現状において、頭と体が混乱するのは仕方がない現象かもしれない。全身運動とはよく言ったもので、視線の方向付けや呼吸の仕方など、それぞれの部位の動きがすぐに全体に影響してくることは、「水泳の難しさ」であり「奥が深い」ところであると実感する今日この頃だ。とりあえずせっかくなので、もう3カ月は続けようかと思う。

 最悪、伏し浮きでイルカに挑むか!?

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