予想屋

投稿者: | 2021-11-02

 最近はテレビでちょっとお目にかかれていないのだが、ジャーナリストの田原総一郎さんという方がいる。私は大ファンだ。何年か前まで日曜日の午前中に、確か「サンデープロジェクト」という名前だったと思うが、生放送の“お堅い”討論番組があった。主な討論内容は「政治・経済・社会」問題で代議士の先生方や経済界の重鎮、経済学者、新進気鋭の経営者等々が登場する。田原さんがその司会を務めていた。

 私は政治に取り立てて興味があるわけではない。実際に似たような設定の番組は他にもたくさんあるが、観たいと思ったことはない。この田原さんの番組が一番面白く、単純に好きなのだ。何故そこまで好きだったのかを考えてみると、冷静に公平に討論を仕切らなければならない「司会者」としての役目を、田原さんは一番大事な核心に迫る部分で放棄し、独断を放り込んでくるからだと思う。田原さんは毎週阿修羅のような形相で本気で出演者に襲いかかった。あの迫力に立ち向かうには知識はもちろん相当な気合いが必要だろう。結局受けて立つ側は大抵タジタジになってしまう。いわばネクタイ族の格闘技とも言える番組だ。私はその「バトル」を観て楽しんでいたんだと思う。ホントに面白かった。

 田原さんがテレビなどの公共の場で過激な発言を止めないから、過激な運動をしている団体から「脅迫」を受けているとも聞く。そんな目にあっても彼が止まらないのは亡くなったお連れ合いの事もあるだろうし、ほんとに死んでも良いと思ってあの仕事に向かっているんだと想像する。そんな人にはなかなか勝てない。私に言わせればカッコ良すぎる。目指す道は違うけれども、年老いてもあんな風に生きられたら恐らくいつ死んでも本望だろうなって、そんな風に思う。日本には田原さんのような人がまだまだ必要だ。

 衆議院選挙が終わり、加熱した各新聞社やテレビ局他の報道合戦も一段落したことだろう。関係者の方々の労を労いたいと思う。投票日までの約一週間程だっただろうか、選挙にまつわる記事や放送に接して私が受けた全体的な印象は、「野党が優位」というものだった。「野党が躍進する」とまで伝えたところもあり、投票日の夜の「開票速報番組」の中でさえも、野党が議席を伸ばすという予想が立てられていた。しかし、まさに蓋を開けてみると、野党が議席を減らすという各社の予想とは正反対の結果で幕を閉じた。私は単純にそういった結果的に“外れた”予想を発信した各大手報道機関に酷く不信感を持つ。ここまで外したことは今まであったのだろうか?翌日予想が外れたことに対して謝罪した記事も目にした。競馬の予想じゃないんだから……。

 あくまでも「予想」だから外れても構わないということなのか。私はこの一週間に選挙に関しての予想記事を読んで全く意味がなかったと思っている。憤りさえ覚える。予想することはジャーナリズムの一部分になるのだろうか。紙面を埋めるため、放送の尺を埋めるため、報道内容を面白おかしい内容にするため。「ジャーナリズムはどうあるべきか」等と語るつもりはないし、そもそも分からない。しかしあんまり適当なことをやっていると田原さんに怒られそうな気がする。

  あの番組、復活しないかな~

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