冬場に屋外でランニングをするときの強い味方を昨年の冬に見つけた。体に密着する素材でできていて「防寒肌着」とも呼ばれるスポーツウエアだ。これが優れものなのだ。これに出会うまでは無理をしてでもTシャツ1枚と短パンで走ることにこだわって頑張っていた。私は汗かきで、冬の寒さの中でも一度走り出してしまえば意外と薄着でも走ることができる。むしろそちらの方が心地よく、走りやすかった。ただやっぱり走る前のちょっとした準備体操と走り終わった後のクールダウンの時が地獄だ。だから重ね着をして家から出てくるのだが、走り始めて身体が温まってくると暑くてイライラしてくるので、邪魔だったが上着を脱いで腰に巻いて走っていた。
ところがこの優れもののウェアは、そんな不快感から私を解放してくれたのだ。寒さから身体をしっかり守ってくれるだけでなく、走っている間も蒸れたり暑くなったりと言うことがないのだ。新素材の開発なのか、そんなことが可能になった秘密はちょっと調べてないのだが、こんな良いものがあったのならもっと早くから使っていればよかったと本当に思う。「どうせあんなに密着していれば、暑苦しくなるのがオチだろう」と勝手に決めつけていた。「そう言えば他のランナーたちも、みんな着てるもんな~」と今さら気づく自分のアホさ加減に呆れてしまう。
ランニングを始めてからもう10年以上経つわけだが、雪国に住んでいるせいで、冬のウェア装備には苦労してきた。寒いと特に乳首が固まるのでウェアと擦れて痛い。酷い時は出血する時もある。走っている時は忘れてしまっているのだが、気づいた時のあの痛さはかなり厳しい。涙がチョチョ切れる感じだ。知らぬ間に乳首がかさぶたで覆われていることもあった。本当は絆創膏か何かを貼って走ればいいのかもしれないが、それはちょっとできない。そこまではプライドを捨てられない。不器用な性格極まりないが、しかし脱いだ時の自分の裸を想像すると、ちょっと無理だと思う。
私はスキンヘッドにしているので、頭部の装備については死活問題だ。体温は頭からドンドン逃げていく。最初は野球帽を被って走っていたが、一汗かくとやっぱり取りたくなる。反対に言うと、キャップを取ると体温を下げられるわけだ。しかしその時にはもうすでに汗がしみ込んでしまっている。ポケットにしまって走り続けるが、やっぱり異物感があって気になる。
また帽子はTシャツなどと違って、洗濯機で気軽に洗えないので、汗まみれになった帽子はしばらく使えない。そうすると何個も用意しなければならなくなり、本当に扱いがやっかいな装備だ。この問題はまだ解決できていないが、この冬何かまた新しい武器を探して快適なランニングライフにしてみたい。スポーツインナーに似た素材でできている水泳キャップがいいかもしれない。
いずれにしても私の街での冬場のランニングは過酷を極める。特に早朝地面が凍り気味の時、「滑って転ぶ」ことはもちろん最も注意しなければならないが、滑ることを抑えながら無理をして走り、股関節を痛めてしまったことがあった。余計なところに余計な力が入ったのだと思う。ケガをしてしまっては本末転倒で、おもしろくない。ドカンと雪が降り積もってしまえば、「走らない」という諦めがつくのだが、降るか降らないかの頃が微妙に思案のしどころで難しい。ただその頃が一番足が動く季節でもある。
そう言えば、昔から野球のアンダーシャツに似たような素材のものがあったな~