朝の出勤中の30分ほどの時間、NHK朝の連続テレビ小説を毎日観ていた。ちょうど時間的に被るのだ。玉山鉄二さんが演じた「マッサン」からだから、かれこれもう5~6年ほどになる。いつしか朝ドラは生活にちょっとした彩りを加えてくれる無くてはならないものになっていた。そして今年の四月からスタートした窪田正孝さんが演じた「エール」を当然のように楽しく観ていた。しかし7月頃だっただろうかコロナで新しい回の収録ができなくなったそうで第一話目からの再放送が始まってしまった。大好きな朝ドラだったが2、3ヶ月前に観たばかりのものをもう一度観ることは私には苦痛だった。この時間を有効に使える何か他にいい方法はないだろうか。
中学生の頃から英語が好きだった。アメリカの文化に憧れ、特に映画に夢中だった。英語映画を字幕無しで観て完全に理解しきることは今でも一つの夢だ。大学生の頃、映画を作る仕事がしたいと思ってハリウッドへ行くことを目指したが、グリーンカードを持っているわけでもなくアメリカで長期滞在しようと思ったら留学するしか方法が見つからなかった。詳しいことは覚えていないがアメリカの大学に留学するにはとりあえず200万円必要で、さらに飛行機代や当面の生活費などを当時の私が工面するのは難しい状況だった。色々調べ検討して結局カナダのトロントへ「ワーキングホリデービザ」というビザを取得して渡航することにした。26歳の時だった。映画やミュージッククリップなどの映像撮影場所としてトロントはハリウッド、ニューヨークに続く北米第3位の撮影件数を誇っていた。理由はカナダでは英語が通じるということに加えてカナダドルが米ドルに比べて割安で、アメリカからやって来る撮影隊にしてみると撮影経費が軽減できるからだろうということだった。この街からハリウッドへのチャンスを狙おうと決めた。
帰りの飛行機のチケットとアルバイトで貯めたお金を携えてトロントに降り立ち、ガラガラと大きなスーツケースを転がしながらその日の宿を探して街を歩き回ったあの日から2年半後、夢破れて帰国した。もう四半世紀以上も前の事になる。まるで昨日のことのようだ。いわゆる“ペラペラ”に成れなかった悔しさは今でも心に確かに存在していて、自分を誤魔化せなかった。そして思いついた。「そうだ!もう一度英語を勉強しよう」。
インターネット上で評判を色々調べ、「PRIME ENGLISH」という英会話学習教材を購入した。全24スキットで学ぶCD教材でテキストも付属しており、またウェブサイトやYOUTUBEでも補足の学習ができる非常に現代的な良い教材だと思う。通勤中の往復で1日1時間以上このPRIME ENGLISHを聴き浸っている。1スキットの中で聴くだけのレッスンもあれば発音することがメインの回もある。折り返しを過ぎ、今朝はスキット14の6回目のレッスンだった。帰りの時間も有効に活用できていて非常に良かったと思っている。ナイスアイデアだった。帰り道は疲れていて「聴きたくない、今日は勘弁してくれ」という日もあるけれども、流しっぱなしにしているといつしか耳を傾けたり、リピートしたりしている自分に気づく。気合いが入っているときは大声ではっきりと発音し自信と確実性を高めている。もう少し進んだらウェブサイトの質問フォームでPRIME ENGLISHパートⅡの発売予定はないのか聞いてみようと思っている。
ところで「エール」の最終回ってどんなだったんだろう……。