Push-ups

投稿者: | 2021-05-14

 腕立て伏せを久しぶりにやってみた。30回できた。もうちょっといけそうだったが、あまり無理をしてどこか痛めても嫌なので、切りの良いところで止めておいた。何故急に腕立て伏せなのかと言えば、針灸院に毎週通っているにも関わらず、左肩から肘へのしびれが治らないのだ。ここ1~2週間は治るどころか、しびれ方が酷くなっている。違和感を感じ始めてから、かれこれ1年になろうとしている。もう他人任せにしていないで、自分でも何かできることをしようと思い立ったのが、腕立て伏せに踏み切ったきっかけだ。筋力の低下に加え、筋肉が小さくなってきて隆起がなくなり、左肩を通る神経が骨かどこかに当たっているような気がするのだ。

 野球を始めた小学校4年生の時から、勉強机の正面に「腕立て50回」という張り紙を貼って毎日実践していた。50回できていたのか、目標の数字だったかは忘れたが、それに近い回数はこなしていたと思う。腕立てさえ続けていれば、野球がうまくなるような気がしていて、その張り紙は夢をかなえるための“おまじない”でもあったかもしれない。おかげで打撃のパンチ力が非常に鍛えられた。
 確か高校までは毎日続けていたと思う。野球を止めてからも腕立てだけは続けていた。やらないと何か気持ちが悪いような、生活の一部のようになっていた。全盛期で80回の後半くらいまではコンスタントにできていたと思う。100回までいったことはなかった。不思議とベンチプレス等の筋トレマシーンを使ってのトレーニングはあまり好きじゃなく、腕立て一本で頑張っていた。

 両手両ひざを床につけた四つん這いの体勢から、両手を肩の幅より少し広めの位置に決めて、腕を伸ばしたまま手のひらはできるだけ広げる。そのまま横から見て両腕と床がちょうど90度の角度を作る位置に頭を移動したら、両足を真っすぐ後方へ伸ばし、つま先をたてる。この状態が一番高い位置。そしてうつむき加減の前頭部が床につくかつかない位置にくるまで両腕を曲げ、体全体を下げる。これが一番低い位置。この高低二つの位置へ向かって、両腕の曲げ伸ばしによって体全体を交互に往復させ、つまり上下運動を繰り返す。運動中は決してお尻を突き出さず、体が一直線になる状態を保つように努める。

 最初のまだ体力があるうちは、面白いようにどんどん回数を重ねることができ自信が溢れてくる。問題は限界がきてからだ。自分がもう無理と思った時点から、あと何回重ねられるか。ここが力がつくかどうかの分かれ目になってくる。
 腹の底からうめき声が漏れてくる。「ぐぅうおおぉ!」。いよいよ最後の一回を賭けて、下から上へ突き上げようとする時だ。恐らく顔面は真っ赤に充血し、こめかみの辺りに血管が浮き出ているのが感じられる。出たことはないが鼻血が出そうだ。腹筋を振り絞りながら呼吸は止めている。手のひらの外側部分だけが床に当たっていて、親指側の手のひらは厳密には浮いている。手の甲の血管が脈打つように隆起し、両腕はプルプル震えながら必死に伸びようとする。体温が上がっていくのが分かる。「ぬぅぉおぉ…」、血圧が爆発しそうだ。ついに上がり切らず諦め、両腕の力を抜き胸から落ちる。「ハァーハァーハァー」。しばらく動けない。
 そんなことを毎日やっていたのが今では信じられない。久しぶりにちょっとチャレンジしてみようかと思う。前日プラス1回をしばらく目指して、とりあえず何とかまた50回まで。しびれが取れることを願いながら。

 何か、嫌な汗出てきた。

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